猪瀬直樹氏(作家・東京都副知事)絶賛!

『限界自治 夕張検証 女性記者が追った600日』
(読売新聞北海道支社 夕張支局編著 梧桐書院刊)
定価1,680円(税込)
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負債総額632億円――。2006年6月、北海道夕張市は巨額の借金を抱え、財政再建団体への移行を表明した。市民にとっては晴天の霹靂だった。なぜなら毎年公表される市の決算は黒字で、財政の悪化など疑うべくもなかったからである。いったい財政破綻の原因は何だったのか。なぜ市民は騙されてしまったのか。今後の暮らしはどうなるのか。はたして街の再生は可能なのか……。
この本は、夕張市の財政破綻の全貌を克明に追い続けたドキュメントである。著者は、読売新聞北海道支社の女性新聞記者。夕張市の暗部を丁寧な取材によって炙りだし、破綻の真実に一歩一歩迫っていく。炭鉱閉山後の観光事業の失敗、カリスマ市長のワンマン行政、一時借入金の乱用、ヤミ起債による資金調達、まるでパンドラの箱を開けたように意外な事実が明らかになっていく。本を読むうちに、夕張の財政破綻は起こるべくして起こったことが理解できる。
著者は、第三章「再生へのもがき」で財政再建団体に陥った後の夕張市職員や多くの市民らの声を伝えている。その切実な声に触れると、財政再建団体がどれほど過酷な状況を強いられるのか、当事者たる市民にどれほどの不安や苦痛、諦念、試練などをもたらすのかが手に取るようにわかってくる。
私たちは、夕張から多くを学ぶ必要がありそうだ。日々の生活を安定たらしめているものは何か、自治体の危機にどんな行動を起こすべきか、地方自治の理想的なあり方とは何かなど、考えるべきことは多い。この本は、自分たちの暮らしの足元をもう一度見つめるようにと警告しているのかもしれない。