永井:ぼくは三男ですが、すぐ上の兄が48歳のときに肝硬変で亡くなりました。優秀な兄貴だったんですが、いつも社会に対して不満や鬱屈したものを持っていて、とても無念そうに死んでいった。ぼくの脳裏にそういう印象がずっと残っていました。そのときぼくは40歳くらいでしたが、長兄から「おまえ、いい気になって酒をくらってるが、おれは弟2人も葬式を出したくないよ」と言われました。
そんなこともありまして、とにかく自分の中では、亡くなった兄の48歳をクリアしなければならないという思いが強かった。詩人の寺山修司さんは、ぼくとちょうど誕生日が同じでひと回り上なのですが、やはり48歳で亡くなっていますし、周囲でもその歳で亡くなられている方がけっこう多いんです。
ぼくは、更年期にさしかかるこの時期に、なにか一つの人生の峠があるような気がしています。その峠を越えるときに、どこかで無理をしてしまった結果、途中でくたばってしまうのではないか。それを無事越えると、見るからにもちゃんとしたじじぃになってくるんですが(笑)、それなりに安定していけるような気がします。男の更年期にさしかかるこの時期に、他にも何か要因があるのかなと思って調べてみようと思ったのも本を書くきっかけのひとつです。この時期をうまく過ごすためには、どういうスタンスで適応すればいいのか、という思いもありました。
最初、「月刊宝石」に連載していました。出版してからも、読者からのリアクションがけっこうありました。同年代の方が特に食いつきはよかったですね。共感する人がほとんどで、どうすればいいのかという治療法の質問がたいへん多かった。