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鈴木千弘税理士の法律講座 VOL.22 バックナンバー

相続税の納め方
相続税に関する用語解説

 今回は相続税の納め方をご説明します。いろいろな規定に基づいて相続税が発生すれば、当然その金額の税金を国に納付しなければなりません。その納付の仕方です。


相続税納付の基本は現金で

 相続税の納め方の大原則は現金納付です。金額の多寡にかかわらず、納めなくてはならない相続税は現金、つまりキャッシュで納めるのが原則です。
 相続税は相続財産についてかかる税金で、その財産の種類はさまざまでした。たとえば土地が相続財産のほとんど全てを占めるような場合、計算上で相続税が発生しても、それと同額以上の現金がない場合があります。税金を納めなさいといわれても納める現金がない、こんな場合です。それでは納められません。そこで、『延納』と『物納』という二つの制度があります。簡単にいうと、延納は言葉通り納付を延期する、物納は物で納めるということです。現金で即納めるというのではなく一定の期間納付を延期する、または現金でない物で納めるのですが、当然無条件に認められるはずはありません。これを見ていきましょう。
 その前にまず順番を覚えてください。第一番は金銭による納付、第二番は延納、そして第三番が物納です。つまり金銭による納付が困難でないのに延納は駄目ですし、延納できるのに物納を選ぶことは原則としてできません。


延納と物納の要件とは?

 延納の要件は、相続税法第38条に規定されています。そこには「納付すべき相続税額が10万円を超え、かつ、金銭で納付することを困難とする事由がある場合」とあります。
 つまり納付すべき相続税額が10万円を超えている必要があります。10万円以下では延納は認められません。「超え」ですから、10万円ちょうどでも駄目です。そしてその上で、一括で納付することを困難とする事由が必要です。この二つの条件を備えて初めて延納が考えられるのです。

相続税法第38条(延納の要件)

税務署長は、第33条又は国税通則法第35条第2項 (申告納税方式による国税等の納付)の規定により納付すべき相続税額が10万円を超え、かつ、納税義務者について納期限までに、又は納付すべき日に金銭で納付することを困難とする事由がある場合においては、納税義務者の申請により、その納付を困難とする金額として政令で定める額を限度として、5年以内(相続又は遺贈により取得した財産で当該相続税額の計算の基礎となつたものの価額の合計額(以下「課税相続財産の価額」という。)のうちに不動産、立木その他政令で定める財産の価額の合計額(以下「不動産等の価額」という。)が占める割合が10分の5以上であるときは、不動産等の価額に対応する相続税額として政令で定める部分の税額については15年以内とし、その他の部分の相続税額については10年以内とする。)の年賦延納の許可をすることができる。

 物納の要件は、相続税法第41条に規定されています。ここには、「延納の規定によっても金銭で納付することを困難とする事由がある場合」とあります。つまり、延納できるのに物納を選ぶことは原則としてできないということです。
 ちょっと道がはずれますが、面白い話を聞いたことがあります。税金は原則現金で納付することに決まっているのですが、現金で一括納付が困難な場合に、あるいは現金一括納付よりも筋が通る方法で納付する方法がある場合はその方法で納付することになりますが、ある人(法人だと記憶しております)がかなりの税金が発生しその納付をしたのです。しかし何らかの理由で素直に現金納付に応ぜず、税金と同額の一円玉を積んだトラックで税務署に乗り込み、ジャラジャラと税務署の前に一円玉を降ろしたことがあるそうです。税務職員が総出でその一円玉を数え、納付税額と一致していることを確かめて受領したことがあったそうです。これでも現金納付には違いありませんので、そのときの法律はクリアしていたと聞いています。現在はどうでしょうか。一円玉でのこのような納付の仕方に対しては受領しないこともできると聞いています。

第41条(物納の要件)

税務署長は、納税義務者について第33条又は国税通則法第35条第2項 (申告納税方式による国税等の納付)の規定により納付すべき相続税額を延納によつても金銭で納付することを困難とする事由がある場合においては、納税義務者の申請により、その納付を困難とする金額として政令で定める額を限度として、物納の許可をすることができる。


延納の期間はどのくらい?

 さて、延納ですが、要件は上に述べたとおりですが、それでは期間はどのくらいが認められるのでしょうか。
 これには二つあります。原則は5年以内年賦の方法による延納です。そしてもう一つは、15年以内の年賦の方法による延納です。
 5年以内が原則で、それは15年以内の延納ができる場合以外が5年以内の延納ということになります。では、15年以内の延納ができる場合とはどういう場合でしょうか。これは相続財産の半分以上が不動産などすぐに処分できそうにない財産で占められている場合です。この場合、一定の計算方法による金額は15年が最長とされ、それ以外の金額は10年にまで期間が延ばされています。


物納できる財産、できない財産

 物納ができる場合に、その物納に当てる財産について制限があります。何でもよいというものではありません。物納はその制度自体例外的なものですので、条件も厳しく規定されています。物納できる財産、できない財産という具合に規定されています。その考え方の根底には、物納で国が貰ったその財産を国が処分換金することに対し非常に苦労する、あるいは不可能だと思われるものは物納できません。現金納付に対する物納ですので、国にとって処分可能ということが大前提となるからです。


 以上、今回は相続税額の納付についてお話しましたが、これは大きなさわり部分です。次回はもう少し掘り下げてお話したいと思います。

鈴木 千弘先生のプロフィール

1952年生まれ/血液型A型
横浜市立大学商学部経営学科卒業
昭和63年1月事務所開業以来「歌って踊れる税理士」として多数のクライアントを持ち、仕事に忙殺されながらも税理士事務所のユニークなホームページを開設しています。

●税金のことならあらゆるご相談を受け付けています。
E-mail : csuzuki@mtj.biglobe.ne.jp

●すーちゃんホームページはこちら
http://www5b.biglobe.ne.jp/~s-chan/


「鈴木千弘税理士の法律講座」バックナンバー

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VOL.9 相続税と贈与税は、車の両輪〜切っても切れない腐れ縁〜
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VOL.17 相続税法の体系
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VOL.20 遺産分割が決まらない時には(1)〜未分割遺産に対する課税〜
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VOL.22 相続税の納め方
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