前回お約束したように、今回は「未分割遺産に対する課税」について詳しくご説明いたします。相続税法第55条です。この条文は前回に掲載してありますが、ここでもう一度載せます。
寄与分はあくまでも共同相続人の中で起こる問題です。相続人でない者には「寄与分」という考え方はありません。これは、法定相続分が「相続人間での平等」を前提とした制度であるのに対し、特別に「寄与」した者に対してはそれを別に認めようというものです。
思い出してください。第一順位の相続の場合、法定相続分は、子供全員で1/2、配偶者1/2、第二順位の相続の場合は両親で1/3、配偶者2/3、そして第三順位の場合は兄弟姉妹で1/4、配偶者3/4でした(
vol.1)。これら共同相続人の中で、特別に寄与したものがあるときは、遺産分割協議の際、その寄与分を共同相続人で決定してその分を相続財産からあらかじめ除外しておいて、残りの相続財産を法定相続分で分配し、その寄与した者に寄与分として除外した相続財産を加えるのです。
「3 寄与分は、被相続人が相続開始の時において有した財産の価額から遺贈の価額を控除した残額を超えることができない」
これはどういう意味か?
遺贈とは遺言に基づいて財産を与えることをいいます。ですから相続財産の合計が1億だとした場合、5,000万円分を遺言でAさんに与えることにされているとしますと、残り5,000万までしか寄与分として指定できないということです。もしこの規定がなかったら、遺言によりAさんに与えられた財産を寄与分として取り戻すことにもなりかねません。それでは遺言の意味がなくなってしまう可能性があるからです。
第一順位の相続が発生したとします。配偶者と子供3人が相続人という場合、法定相続分は配偶者1/2、子供3人で1/2です。相続財産の合計を今1億とします。この1億の中から子供Aに寄与分として1,000万を与える協議が調ったとします。分割が確定している場合は、この1億から1,000万を控除した9,000万を法定相続分で取得します。配偶者9,000万÷2=4,500万。子供Aは9,000万÷6=1,500万。1,500万に寄与分の1,000万を加えます。つまり2,500万です。子供BとCはそれぞれ1,500万となります。