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鈴木千弘税理士の法律講座 VOL.18 バックナンバー

相続税の申告
相続税に関する用語解説

 今回は「相続税の申告」についてお話したいと思います。人が死亡した場合に起きる相続について、相続税法の規定にのっとって財産を取得した者が相続税を納付するのですが、その方法は「手続き規定」として相続税法に載っています。


いかなる場合も申告は必要か?

 相続税の申告は大きく2つに分かれます。それは「申告義務がある場合」と「申告義務がない場合」です。相続で財産を取得したのだから、その事実を税務署に申告しなくて良いのか、と考えられるのですが、反対にほんの僅かの財産を相続によって取得したものまでも申告すれば、税務行政が混乱すること必至です。だから一定の場合以外には申告ということにはなりません。数的にはほんの一握りの人たちが相続税の申告義務があるといって良いのではないでしょうか。
 だからといって申告をしなくて良いのならば相続税について勉強する必要はない、と考えるのは正しいのでしょうか。やはり知らないより知っている方が良いに決まっています。知って初めて自分は対象外だな、と理解する方が賢明だと思います。


申告義務がない場合

 1. 相続によって財産を取得した場合に、今まで説明してきた相続税の計算方法にのっとって計算した財産の合計額が、基礎控除額以下の場合には当然税金が発生しません。つまり、相続により財産を取得したすべての者にかかる相続税の課税価格の合計額が、相続税の基礎控除額(vol.3参照)以下の場合には申告する必要はありません。

【相続税の基礎控除額の計算】相続税の基礎控除額=5,000万円+1,000万円×法定相続人の数

 2. 相続により財産を取得したすべての者にかかる課税価格の合計額が相続税の基礎控除額を超える時でも、相続税額が発生しない場合にも申告義務はありません。ただし、『配偶者に対する相続税額の軽減』の規定を適用しない場合に、相続税額が発生しない場合です。反対にいいますと、『配偶者に対する相続税額の軽減』の規定を適用した時初めて相続税額がなくなるような時、申告義務はあります。


申告期間はいつからいつまで?

 相続の開始があったことを知った日の翌日から10ヶ月以内です。「相続の開始があったことを知った日』とは、被相続人が死亡した日ではありません。普通の場合、被相続人の死亡は家族に見取られると思いますから、死亡日と知った日は同一でしょうが、必ずしも同一とは限らないケースがあります。相続人たちが被相続人の死亡を知った日はもしかしたら相続人で違うかもしれません。そんな場合が考えられる以上、「相続の開始があったことを知った日」と規定しないと公平を保てないのです。


申告書の提出先は?

 納税地の所轄税務署です。納税地については次の通りです。

1.
相続または遺贈(死因贈与を含む)により財産を取得した個人で当該財産を取得した時においてこの法律の施行地に住所を有するもの:
この法律の施行地にある住所地(この法律の施行地に住所を有しないこととなった場合には、居所地)
2.
相続又は遺贈により財産を取得した日本国籍を有する個人で当該財産を取得した時においてこの法律の施行地に住所を有しないもの(当該個人または当該相続もしくは遺贈にかかる被相続人(遺贈をしたものを含む)が当該相続または遺贈にかかる相続の開始前5年以内のいずれかの時においてこの法律の施行地に住所を有していたことがある場合に限る):
納税地を定めて、納税地の所轄税務署長に申告
3.
相続又は遺贈によりこの法律の施行地にある財産を取得した個人で当該財産を取得した時においてこの法律の施行地に住所を有しないもの(2.に掲げるものを除く) :
納税地を定めて、納税地の所轄税務署長に申告
4.
上の1.と2.に掲げるものでこの法律の施行地に住所および居所を有しないこととなるもの:
納税地を定めて、納税地の所轄税務署長に申告
5.
納税義務者が死亡した場合においては、その者に係る相続税については、その死亡した者の死亡当時の納税地をもつて、その納税地とする

 ただし、当分の間被相続人がその死亡の時において法施行地に住所を有する場合においては、当該被相続人から相続又は遺贈によって財産を取得したものが提出しなければならない相続税の申告書の提出先は、当該被相続人の死亡の時における住所地の所轄税務署長となるという規定があります。これは相続税法附則といわれるものに規定されています。多くの場合はこの規定に該当すると考えられますので、被相続人の住所地が相続税の申告書の提出先、つまり納税地となるでしょう。


連名による申告

 同一の被相続人から相続又は遺贈により財産を取得した者又はその者の相続人で申告書を提出すべきもの又は提出することができるものが2人以上ある場合において、当該申告書の提出先の税務署長が同一である時は、これらの者は、当該申告書を共同して提出することができることになっています。つまり、一冊の相続税の申告書にそれぞれの取得財産とかの必要事項を記入して、それぞれが自分の欄に署名押印して申告します。各自一冊ずつ申告書を作成するのではなく連名での申告ということです。

鈴木 千弘先生のプロフィール

1952年生まれ/血液型A型
横浜市立大学商学部経営学科卒業
昭和63年1月事務所開業以来「歌って踊れる税理士」として多数のクライアントを持ち、仕事に忙殺されながらも税理士事務所のユニークなホームページを開設しています。

●税金のことならあらゆるご相談を受け付けています。
E-mail : csuzuki@mtj.biglobe.ne.jp

●すーちゃんホームページはこちら
http://www5b.biglobe.ne.jp/~s-chan/


「鈴木千弘税理士の法律講座」バックナンバー

VOL.1 相続税は生きている人の責任
VOL.2 相続は悲しみを乗り越えて
VOL.3 相続税の計算(1)〜第一順位の相続の場合〜
VOL.4 遺言と相続税との関係
VOL.5 相続税の計算(2)〜3年内生前贈与財産の加算の規定〜
VOL.6 知っておくと得する、非課税財産(1)
VOL.7 知っておくと得する、非課税財産(2)
VOL.8 まだ一人前ではないですよ、未成年者の諸君
VOL.9 相続税と贈与税は、車の両輪〜切っても切れない腐れ縁〜
VOL.10 贈与税にもある非課税財産
VOL.11 知っておきたい相続税の債務控除
VOL.12 気になる『財産評価』(1)〜居住用土地の例〜
VOL.13 気になる『財産評価』(2)〜居住用土地の評価額算出法〜
VOL.14 相続税の計算(3)〜障害者控除の規定〜
VOL.15 もしも不幸が重なってしまったら〜相次相続控除の規定〜
VOL.16 夫婦間の贈与は慎重に!〜贈与税の配偶者控除の規定〜
VOL.17 相続税法の体系
VOL.18 相続税の申告
VOL.19 人生を共に歩んだ配偶者は優遇される〜配偶者の相続税額の軽減〜
VOL.20 遺産分割が決まらない時には(1)〜未分割遺産に対する課税〜
VOL.21 遺産分割が決まらない時には(2)〜未分割遺産に対する課税と寄与分の規定〜
VOL.22 相続税の納め方
VOL.23 勉強の成果を確認しよう〜相続税についての理解度をチェック〜

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