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鈴木千弘税理士の法律講座 VOL.14 バックナンバー

相続税の計算(3)〜障害者控除の規定〜
相続税に関する用語解説

 vol.3で相続税額を計算する場合に、『相続税額の加算』『相続開始前3年間の贈与財産の加算』『配偶者の相続税額の軽減』『未成年者控除』『障害者控除』『相次相続控除』『外税控除』があると説明しました。このうちまだ説明していないものが『障害者控除』と『相次相続控除』、そして『外税控除』です。今回は『障害者控除』について説明したいと思います。


相続税法における健常者と障害者とは?

 僕個人的には『障害者』という言葉は好きではありません。では何がよいのか?というと分かりませんが、大きな声で『障害者』ということに躊躇してしまうところがあります。しかし、相続税法でも、また一般的にも使用されていますので、そのまま使います。「健常者」に対して「障害者」です。どう考えても「社会的弱者」という範疇に入るでしょう。資本主義ですので「経営者」と「労働者」という場合の社会的弱者という問題ではありません。また健常者が本当の意味で社会的に強者であり、障害者が弱者かといえば必ずしもそうは言い切れないと思います。経済力を問題とすれば、簡単にいえば収入が多いほうが強者となり少ないほうが弱者です。でもそれまでになるのに同じように努力し、同じような機会に恵まれ、差がない場合において強者と弱者ができるような気がします。おっと、僕の悪い癖で本題から外れてしまいそうなので、このあたりのことはこのくらいにしておきます。
 ここでいう「健常者」は、生活するのに普通にできて、障害者はそれが普通にできないという差と考えてよいと思います。ですから『障害者』と認定される人たちには、特別に相続税において控除税額があるということです。


障害者の規定とは?

 では、『障害者』とはどういう人たちのことをいうのでしょうか。これには2種類あります。『障害者』と『特別障害者』です。障害者とは、「精神上の障害により事理を弁識する能力を欠く常況にある者、失明者その他の精神又は身体に障害がある者」で一定のものをいい、特別障害者とは、「障害者のうち精神又は身体に重度の障害がある者」で一定のものをいいます。
 詳しくは次のようになります。

●障害者

1.
精神上の障害により事理を弁識する能力を欠く常況にある者又は児童相談所、知的障害者更生相談所、精神保健福祉センター若しくは精神保健指定医の判定により知的障害者とされた者
2.
精神障害者保健福祉手帳の交付を受けている者
3.
交付を受けた身体障害者手帳に身体上の障害がある者として記載されている者
4.
戦傷病者手帳の交付を受けている者
5.
原子爆弾被爆者に対する援護に関する法律の規定による厚生労働大臣の認定を受けている者
6.
精神又は身体に障害のある年齢65歳以上の者で、その障害の程度が第1号又は第3号に掲げる者に準ずるものとして市町村長又は特別区の区長(社会福祉法(昭和26年法律第45号)に定める福祉に関する事務所が老人福祉法(昭和38年法律第133号)第5条の4第2項各号(介護の措置等の実施者)に掲げる業務を行っている場合には、当該福祉に関する事務所の長。「市町村長等」という)の認定を受けている者
7.
常に就床を要し、複雑な介護を要する者でその障害の程度が第1号又は第3号に掲げる者に準ずるものとして市町村長等の認定を受けている者

●特別障害者

1.
前項第1号に掲げる者のうち、精神上の障害により事理を弁識する能力を欠く常況にある者又は児童相談所、知的障害者更生相談所、精神保健福祉センター若しくは精神保健指定医の判定により重度の知的障害者とされた者
2.
前項第2号に掲げる者のうち、同号の精神障害者保健福祉手帳に障害等級が1級である者として記載されている者
3.
前項第3号に掲げる者のうち、同号の身体障害者手帳に身体上の障害の程度が1級又は2級である者として記載されている者
4.
前項第4号に掲げる者のうち、同号の戦傷病者手帳に精神上又は身体上の障害の程度が恩給法の特別項症から第3項症までである者として記載されている者
5.
前項第7号に掲げる者のうち、その障害の程度が第1号又は第3号に掲げる者に準ずるものとして市町村長等の認定を受けている者
6.
原子爆弾被爆者に対する援護に関する法律の規定による厚生労働大臣の認定を受けている者
7.
前項第2号に掲げる者のうち、その障害の程度が第2項第1号又は第3号に掲げる者に準ずるものとして市町村長等の認定を受けている者


障害者控除額の計算方法

●障害者控除

相続又は遺贈により財産を取得した者(第1条の3第2号又は第3号の規定に該当する者を除く)が当該相続又は遺贈に係る被相続人の前条第1項に規定する相続人に該当し、かつ、障害者である場合には、その者については、第15条から前条までの規定により算出した金額から6万円(その者が特別障害者である場合には、12万円)その者が70歳に達するまでの年数(当該年数が1年未満であるとき又はこれに1年未満の端数があるときは、これを1年とする)を乗じて算出した金額を控除した金額をもつて、その納付すべき相続税額とする。

 計算式は次の通りです。

6万円(特別障害者は12万円) ×対象者が70歳に達するまでの年数=障害者控除額


障害者控除が使える者

 次の3つの要件を同時にクリアーすることが必要です。

相続または遺贈により財産を取得した者で次の者以外の者
1.
相続又は遺贈により財産を取得した日本国籍を有する個人で当該財産を取得した時においてこの法律の施行地に住所を有しないもの(当該個人又は当該相続若しくは遺贈に係る被相続人(遺贈をした者を含む)が当該相続又は遺贈に係る相続の開始前5年以内のいずれかの時においてこの法律の施行地に住所を有していたことがある場合に限る)
2.
相続又は遺贈によりこの法律の施行地にある財産を取得した個人で当該財産を取得した時においてこの法律の施行地に住所を有しないもの

つまり相続開始時に日本に住所を有している者であることです。

その相続または遺贈にかかる被相続人の相続人であること
 民法第5編第2章(相続人)の規定による相続人(相続の放棄があつた場合には、その放棄がなかつたものとした場合における相続人)で法定相続人です。
障害者であること


控除不足の場合は?

 この障害者控除の規定を使う前の相続税額が例えば10万円だとしたとき、この障害者控除額が計算では20万円になると、10万円が引けません。この引けなかった10万円はどうなるのでしょうか?
 税法もなかなか考えているところでして、この引けなかった金額は同じ相続で納税額があるその障害者の扶養義務者の税金から引くことができるのです。詳しくはまた後ほど説明したいと思います。


鈴木 千弘先生のプロフィール

1952年生まれ/血液型A型
横浜市立大学商学部経営学科卒業
昭和63年1月事務所開業以来「歌って踊れる税理士」として多数のクライアントを持ち、仕事に忙殺されながらも税理士事務所のユニークなホームページを開設しています。

●税金のことならあらゆるご相談を受け付けています。
E-mail : csuzuki@mtj.biglobe.ne.jp

●すーちゃんホームページはこちら
http://www5b.biglobe.ne.jp/~s-chan/


「鈴木千弘税理士の法律講座」バックナンバー

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VOL.4 遺言と相続税との関係
VOL.5 相続税の計算(2)〜3年内生前贈与財産の加算の規定〜
VOL.6 知っておくと得する、非課税財産(1)
VOL.7 知っておくと得する、非課税財産(2)
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VOL.9 相続税と贈与税は、車の両輪〜切っても切れない腐れ縁〜
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VOL.17 相続税法の体系
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