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鈴木千弘税理士の法律講座 VOL.13 バックナンバー

気になる『財産評価』(2)〜居住用土地の評価額算出法〜
相続税に関する用語解説

 今回は、前回を引き継いで、具体的な計算をしてみましょう。『路線価(ろせんか)』という言葉がでてきますが、これは国税庁が土地1m2当たりの基準価額として決めているものです。そういうものなんだ、程度の理解でよいと思います。


居住用土地と住所とは?

 被相続人の所有していた財産のうちに、生活していた建物とその土地、つまり「居住用財産」があります。この土地が「居住用」ということになるのは、その土地の上に建っている建物の使用状況によります。
 この場合、「生活していた建物」という例になっていますので、「居住用」です。人によっては「生活していた建物」が1つではない、という場合もあるでしょう。被相続人の生前の生活パターンが、妻や子供たちと一緒に暮らしていた家のほかに、自分が普段仕事などをしていた「別宅」がある場合を考えてみます。仕事中心の生活状態を続けていた被相続人は、普段その「別宅」に泊まることが多くありました。まるで別居しているかのように世間では噂までしていたくらいです。
 税法では、生活の本拠地は1つしかないと考えます。もっと非現実的に思われるかもしれませんが、まったく「居住用」の建物が2つある場合もあります。そんな場合でも、その被相続人の「居住用」建物は1つだと判断するのが税法です。
 一般には居住用建物の所在場所に住所があるでしょう。普通は住所があるところが「居住用」です。しかし、相続税取り扱い通達(『基本通達』といいます)では次のようになります。

●『住所』の意義

法に規定する『住所』とは、各人の生活の本拠をいうのであるが、その生活の本拠であるかどうかは、「客観的事実」によって判定するものとする。この場合において、同一人について同時に法施行地に2箇所以上の住所はないものとする。

 「客観的事実」によって判定するのですから、住民票があるというだけでは駄目なのです。住民票を置いてある住所には、ほとんど生活している様子がなければ、それではどこで生活しているのか? とみられます。当然どこかに「生活の本拠地」があるはずです。それが相続税法の『住所』となります。
 この例の場合は、あくまでも「別宅」ですので客観的事実に基づけば、家族と一緒に生活している「居住用」建物が『住所』のある場所ということになるでしょう。具体的にそれを判断するのは難しいことかもしれません。仕事で用がなくなった時は家族の元に戻り食事もするし、寝るでしょう。その場所が「居住用」の建物です。
 この「居住用」建物の敷地のように使われている土地の評価は、『路線価』という方法で行います。また路線価がないところの場合は『倍率方式』が使われます。


居住用土地の相続税評価額の計算例

 土地の広さは100坪、その土地の上に建坪50坪の家が二階建てで建っています。
この土地の評価をしてみましょう。


路線価が20万円です(1坪=3.3m2)。
20万円×100坪×3.3m2=6,600万円

居住用の土地は、200m2までは50%の評価になります。 6,600万円×200m2/100坪×3.3m2=約4,000万円 この4,000万円の50%が200m2部分の評価額です。 4,000万円×50%=2,000万円

200m2を超える部分、つまり100坪×3.3m2−200m2=130m2は、通常の評価額です。

6,600万円−4,000万円=2,600万円

これらを足して

2,000万円+2,600万円=4,600万円

これがこの居住用土地の相続税評価額です。


 今は200m2までの評価額は通常の評価額の50%になるとしましたが,場合によっては20%でよいものもあります。


居住用宅地の評価減の特例

 さて、これを少々難しい表現にしますと、次のようになります。

●小規模宅地に対する特例

相続又は遺贈により取得した土地のうち一定の土地(その相続開始の直前において被相続人もしくは被相続人と生計を同じくする者であった被相続人の親族の居住の用に供されていた宅地で一定の建物・構築物の敷地となっているもの)については200m2までの部分に限り、通常の評価額の50%になり、さらに、特定の小規模宅地に該当すると20%になります。

●特定居住用宅地(評価額の20%)

被相続人の居住の用に供されていた宅地等で、その相続または遺贈により取得した個人のうちに、その被相続人の配偶者または次に掲げる要件のいずれかを満たす親族がいる場合の宅地をいいます(配偶者は要件を満たしている必要はありません)。

1.
その親族が相続開始の直前において、その宅地の上に存する被相続人の居住の用に供されていた家屋に居住していた者であって、相続開始時から申告期限まで引き続き、その宅地を有し、かつ、その家屋に居住していること。
2.
被相続人の居住の用に供されていた宅地を取得した親族で相続開始前3年以内にその者またはその者の配偶者の所有する家屋(その相続開始の直前において、その被相続人の居住用家屋を除く)に居住したことがない者で、かつ、相続開始時から申告期限まで引き続きその宅地を有していること(被相続人の配偶者または相続開始直前まで1.に規定する家屋に居住していた親族がいない場合に限る)。

 居住用宅地の評価減の特例が受けられるのは、相続または遺贈でもらった宅地です。また、親族が居住し続けない場合は、50%の評価減になります。なお、これらの減税措置を受けるには、原則として、その宅地が特定の相続人に帰属することを遺産分割により決定させ、確定申告期限内に相続税申告をして手続きをしなければなりません。

 財産の評価から相続税は始まります。その評価の方法は財産の種類によって決められているのです。重要だと思われるものを順次解説して行きたいと思います。


鈴木 千弘先生のプロフィール

1952年生まれ/血液型A型
横浜市立大学商学部経営学科卒業
昭和63年1月事務所開業以来「歌って踊れる税理士」として多数のクライアントを持ち、仕事に忙殺されながらも税理士事務所のユニークなホームページを開設しています。

●税金のことならあらゆるご相談を受け付けています。
E-mail : csuzuki@mtj.biglobe.ne.jp

●すーちゃんホームページはこちら
http://www5b.biglobe.ne.jp/~s-chan/


「鈴木千弘税理士の法律講座」バックナンバー

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VOL.2 相続は悲しみを乗り越えて
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VOL.4 遺言と相続税との関係
VOL.5 相続税の計算(2)〜3年内生前贈与財産の加算の規定〜
VOL.6 知っておくと得する、非課税財産(1)
VOL.7 知っておくと得する、非課税財産(2)
VOL.8 まだ一人前ではないですよ、未成年者の諸君
VOL.9 相続税と贈与税は、車の両輪〜切っても切れない腐れ縁〜
VOL.10 贈与税にもある非課税財産
VOL.11 知っておきたい相続税の債務控除
VOL.12 気になる『財産評価』(1)〜居住用土地の例〜
VOL.13 気になる『財産評価』(2)〜居住用土地の評価額算出法〜
VOL.14 相続税の計算(3)〜障害者控除の規定〜
VOL.15 もしも不幸が重なってしまったら〜相次相続控除の規定〜
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