世は空前のシャンパンブームらしい。
日本のシャンパン消費量は2000年が300万本、2005年が600万本、そして2006年は800万本を超えたとか。シャンパンといえば、結婚式や誕生日など特別な日に飲むものだと思っていたら、今やそうではないようだ。休日のブランチに、あるいは仕事を終えた1日の終りに楽しんでいる人が増えているという。
本書は、パリに約20年住んでいた著者によるシャンパンの入門書である。夜な夜なシャンパンを浴びるほど飲み、シャンパン産地を取材してつかんだ、面白くてためになるシャンパン物語が詰まっている。本書の「軽くて爽やかな9本」に紹介されているコルドン ルージュの「マム」からその一節をご紹介すると―――。
「ボトルに赤いリボンのトレードマークで知られる、世界的なベストセラーのコルドン・ルージュ。F1レースの表彰式でおなじみだ。(中略)この印象的なデザインは数々のアーティストに愛され、エコール・ド・パリ(パリ派)のユトリロが描いた作品や、ヘミングウェイの『日はまた昇る』にも登場した。名作映画「カサブランカ」の“君の瞳に乾杯”で知られる、有名なシーンに使われたのもコルドン ルージュ。」
どうです、飲みたくなりませんか? コルドン ルージュを知らなかった人も、一気にコルドン ルージュに親近感が湧いたのではないだろうか。こんな調子で、シャンパン1本の情報が新書版サイズの見開き2ページに見事に凝縮されているのである。写真をふんだんに使い、見て楽しむシャンパン百科になっているのも嬉しい。
本書に紹介されている101本のシャンパンは、どれも日本で買えるものばかり。まずは1本買い求め、グラス片手に本書をめくってみてほしい。アレヨ、アレヨという間にシャンパンの奥深さにはまりこみ、心地よい陶酔感と読後感に包まれること請け合いである。