人生のセカンドハーフを愉しむサイト TONTON club 人生のセカンドハーフを愉しむサイト TONTON club

Editor's Selection VOL.6 バックナンバー

TONTON 編集部 PICK UP この本、読んだ?

ロング・グッドバイ レイモンド・チャドラー 著 村上 春樹 訳

 「ギムレットには早すぎる」――。誰もが一度は耳にしたことがある台詞だが、この台詞がハードボイルドの金字塔、R・チャンドラーの『ロング・グッドバイ』からの出典だと知る人は意外に少ない。

 主人公の私立探偵フィリップ・マーロウは、巨万の富に囲まれながらも、どこか暗い影を宿すテリー・レノックスという男と知り合う。二人の間には友情が芽生えるが、やがてレノックスは妻殺しの容疑をかけられ自殺を遂げてしまう……。件の台詞は物語の終盤に登場するのだが、「君の瞳に乾杯」と云えば『カサブランカ』、でも「“ギムレット……”は、何だっけ?」という方は、村上春樹氏の鮮やかな新訳で詳細を確認されたい。

 本書の売り上げは、たいへん好調のようだ。2007年3月の売り上げは、芥川賞受賞直後の青山七恵『ひとり日和』(河出書房新社、2007年2月発行)の第1位に次ぎ、「第2位」。4月も引き続き「第2位」にランクイン(トーハン調べ)。その後も引き続き売れ行きを伸ばしている。書籍離れが著しいと言われる昨今、お手軽とは言い難いこの分厚いハードボイルドが売れているというのだから驚きだ。

 この現象は、「村上春樹」に後押しされていることは云うまでもない。氏はこれまでの人生で巡り合った最も重要な書籍3冊に、『ロング・グッドバイ』、S・フィッツジェラルドの『グレート・ギャッツビー』、ドストエフスキーの『カラマーゾフの兄弟』を挙げ、前者2冊を自ら翻訳し、前述の通り売れ行きは好調。同氏の手によるものではないが亀山郁夫氏による新訳『カラマーゾフの兄弟』(光文社、2006年9月〜2007年7月発行)も、古典文学としては異例のベストセラーとなっている。村上春樹の小説のファンが、「村上春樹の翻訳だから」「村上春樹の原点を知りたいから」という理由からこれらを手にしていることが考えられる。また村上訳とは異なる趣で読ませる、清水俊二訳『長いお別れ』(ハヤカワ・ミステリ文庫、1976年発行、翻訳は1958年)で、タフでクールな「マーロウ」ファンになった中高年者たちが、改めてこの「新訳」を手にしていることも推測される。

 清水訳がテンポとスピード感を重視するのに対し、村上訳は前者を保ちながらも、細部の描写が醸す「深み」で読ませる……といったところか。出てはすぐ消える希薄な「情報」が溢れる中、時を越えて読み継がれてきた名作には、人々を魅了し続けるゆるぎない力がある。読書の秋、現代に「蘇った」名作の世界にとっぷりと浸りたい。


「Editor's Selection」バックナンバー

VOL.1 遠藤よしえ先生のBeautyUp講座
VOL.2 バリアフリー・リフォーム&手軽にできる快適リフォーム
VOL.3 中国留学体験記 晩学雑感 第1回
VOL.4 中国留学体験記 晩学雑感 第2回
VOL5 TONTON編集部 PICKUP この本、読んだ? Vol.1
VOL6 TONTON編集部 PICKUP この本、読んだ? Vol.2
VOL7 TONTON編集部 PICKUP この本、読んだ? Vol.3
VOL8 TONTON編集部 PICKUP この本、読んだ? Vol.4

楽天で車椅子の激安販売。 セラピーショップ





My Dear

「超シャンパン入門」(カラー版)5名様にプレゼント!!

TonTonオススメ MUSIC
Artist 五十嵐明要
MUSICはこちらから

PAGE TOP

Copyright 2004 JAPAN MATERIALS CO.,LTD. All Rights Reserved.