60歳近くなってから中国留学に挑戦した
韓文善
(
ハンムンソン
)
氏。
大学生活で中国の現状を目の当たりにし、
さまざまな体験を通して、実に多くのことを考えたに違いない。
いくつになろうとも、憧れと夢と希望を持ち続けて、人生を歩んでいきたいものである。
深セン市は1980年に経済特区に指定された。外国企業の進出が盛んで、工業・商業・金融業などが発展し、高層ビルが次々と建設されている。
通信技術の発達によって、全世界がたった一日で生活圏のごとく情報が飛び交うからこそ、ベールを脱ぎ始めた中国の実情も知ることができるのである。
今や中国は、男女の恋愛でも解放された国である。大学のキャンパス内で、若者同士の愛情表現が見られるのは珍しいことではない。中国でもこんな光景があるのかと驚くのは私だけかもしれない。中国の若者は、衛星放送で国内はもちろん台湾や香港の映像を見ることができ、流行に敏感なのはどこの国でも共通したことであろう。
“恋人”のことを中国では、ペンヨウ「pengyou(朋友)」と表現するのが一般的である。ペンヨウとは、遠い北から来た学生であれ、南の都市から来た学生であれ、同居することを嫌がらない恋人同士がペンヨウになる。ペンヨウ(恋人)を持たない大学生は少なく、大学2年生頃にはペンヨウになるカップルが多いという。既婚者でも、自分の連れあいを「男友達」あるいは「女友達」と紹介する若者が多い。また既婚、未婚を問わず相手を「名前」で呼ぶのが、中国の一般的な呼び方である。日本でも夫を名前で呼ぶことがあるようだが、韓国では相手を名前で呼ぶことはない。だから、3カ国の中では中国が一番開放され、男女平等なのかもしれない。
因みに韓国では新婚さんは自分の夫を、オッバ「obba(お兄さん)」と呼ぶ人が多い。恋愛時代の呼び方が懐かしいためなのか、それとも「旦那さん」とか「主人」と呼ぶのが照れくさいのだろうか。
男性の留学生は、内心誰でも自国の女性が一番美しいと思っているようだ。他国の学生から自国の女性が美しいと言われると気分がいいのは、どこの国でも共通する心理であろう。しかし、その基準は、映画俳優であり、有名歌手である。有名人に美人が多ければ、その国の女性が美人であり、演じた役が良ければ、その国の女性すべてが役柄どおりだと思ってしまうのだ。
中国の男性に聞いてみると、日本の女性が一番礼儀正しいと評価されているようだ。韓国の女性は、韓流ブームの女優などから美人が多いと評価されているようだ。逆に、中国の女性は武術映画の影響だろうか、他国の女性に比べると逞しい印象のようである。
中国の女性は共産政権初期から重要な労働力として、国家建設の先頭になって働いてきた。そのような歴史的な流れの影響か、お金のためだけでなく、結婚して「良妻賢母」の専業主婦を求める人は極めて少なく、外で働く意欲を持つ女性がほとんどである。それに比べて、韓国の女性は結婚後も継続して働くかどうかを悩む、ということでも著しい違いがある。
こういう点でも、中国の女性は、強く、そして、強情に見えるのかもしれない。私の親しい日本人が、中国で喫茶店を営んでいる。本人は離婚して子供はいないが、離婚して子供がいる中国人女性と一緒に生活している。聞くところによると、彼女はかなり疑い深く、常に彼の行動を監視していないと気が済まないらしい。彼女と面識のない私に会っているときでも信用せず、私が電話で説明しなければならない羽目になったこともある。中国の女性が全てそうではないだろうが、概して嫉妬深く、独占欲が強いようである。この点でも、日本や韓国の女性は、多少違うように思われるが・・・。
若者たちは一般的に、男女平等という意識が強い傾向である。だから家庭でも「家事や食事の世話=女性の仕事」という認識は全くなく、先に帰宅した方が食事の準備するという具合である。だから、結婚前に女性が料理学校に通うとか、お母さんが娘に家伝の料理を教えるという花嫁修業などは理解できないのだろう。なぜなら、彼らは在学中ほとんど寄宿舎で過ごすために、お母さんのそばで手料理を食べたり、お料理を手伝ったりする機会が全くないからである。また、家族旅行をして一緒に食事をしたり、学生仲間でキャンプに行ってアウトドアの食事をしたりということもない。だから、家庭に入っても中国の女性が料理をしないのは、無理のないことかもしれない。
今述べてきたことと関係があるかどうかわからないが、中国人の家庭の多くが外食する習慣である。家で食事をする感覚で、近所の食堂に行って食事をするのが普通である。来客がきて朝食を食べに町の食堂に行くと、町のお爺さん、お婆さんが孫を連れて食事をする風景がしばしば見られるが、ここでも外食化されている日常が実感できる。
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