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韓国文化を探る VOL.3 バックナンバー

韓国文化を探る vol.3 医食同源の韓国では、お茶やお菓子まで嗜好品というより、健康や薬用としての意味合いを持つものが多いようです。韓国に造詣の深い島本美由紀さんが、今回は韓国の伝統茶と伝統菓子についてご紹介します。 文・写真/島本美由紀

韓国の伝統茶と伝統菓子

 韓国ブームが続く中、最近じわりじわりと人気が出てきたのが韓国の伝統茶です。お茶というと普通、緑茶などの葉っぱをイメージしますが、韓国ではちょっと違います。今回は韓国の伝統茶を中心にご紹介します。

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庶民から生まれた韓国の伝統茶


▲なつめ茶:老化防止のお茶として有名である。少々甘くてビタミンが豊富。韓国の伝統茶には、なつめや黒ゴマをたっぷり使った一口お餅がついてくる。
 朝鮮時代、お茶の発祥の地である隣国中国から、韓国にもお茶が伝わってきました。唐に派遣された使いがお茶の種を持ち帰ったことから韓国でもお茶の葉の栽培が始まり、一時は茶葉を使った私達のよく知るお茶も普及していたそうです。しかし、儒教を重んじた王朝が、中国から伝わったお茶が広まるのを抑えるために木に高い税をかけ、お茶の葉はいつしか贅沢なものとなってしまい、次第に姿を消していったのです。
 そこで、これに変わるお茶として庶民が考え出したのが、果物などの食材を使ったお茶、つまり韓国の伝統茶だと言われています。日本でも知られている代表的な韓国のお茶といえば、「高麗人参茶」や「柚子茶」、「しょうが茶」などです。
 長時間煮出したお茶に蜂蜜を加えるのが一般的になっています。そのため、お茶はかなり甘いものが多く、この甘さが疲労回復にいいといわれているそうです。いろいろな種類があって、それぞれに効果や効能があり、味も多種多様。老化防止によいと言われる「なつめ茶」や、五味五色が入った「五味子茶オミジャチャ」と言われるお茶などがあります。韓国ではその日の体調によって、飲むお茶を決めるという習慣があるそうです。
 また、ご飯を炊いた後お釜にできた“おこげ”にお湯を入れて飲む「スンニョン」は、生活の知恵から生まれたお茶の一つです。消化促進効果があり、手軽に飲める家庭のお茶の代表になっています。
 医食同源の思想を大切にしている韓国。お茶だって立派な健康飲料として現在でも年配から若い人まで幅広くたくさんの人々に親しまれているのです。

柚子茶
はちみつに漬けた柚子をお湯で溶かしたお茶。さわやかでフルーティーな味。風邪の予防にも最適。


高麗人参茶とお餅のケーキ
高麗人参茶は、かぼちゃの甘味がほんのりとしたお餅のケーキがよく合う。
五味子茶
甘味・酸味・苦味・辛味・塩味の五つの味をもち、華やかな色合いのお茶。夏にはフルーツを入れて冷やして飲む。


梅茶
胃腸の調子を整えると言われる梅のお茶。梅酒のように香り豊か。

仁寺洞で味わう、本場韓国の伝統茶


伝統茶屋:レトロな雰囲気の伝統茶屋は世界中の観光客に人気です。

 ソウルで本格的な伝統茶を飲んでみたいと思ったら、ぜひ足を運んでもらいたいのが、仁寺洞インサドン。昔ながらの街並みが残る趣あるこの街には、韓国伝統茶をいただける喫茶店がたくさんあります。1年かけてじっくり作ったお茶や季節限定のお茶がいただけるお店から、鳥が店内を自由に飛び回るユニークな喫茶店まであり、毎日世界中から観光客がこの街を訪れています。日本でいうと浅草にちょっと似ているでしょうか。
 一歩路地に入ると、タイムスリップしたかのような雰囲気の食堂や茶屋、民族居酒屋などが数多く並んでおり、ノスタルジックな気分を満喫するにはもってこいの場所なのです。
 散策に疲れたら、この伝統茶を飲んで疲れをほぐし、ゆったりしたひとときを過ごしてみてはいかがでしょうか?しばし、時間の過ぎるのを忘れてしまいますよ。私も韓国の行くと必ずこの街を訪れます。ちょっと疲れているなと思ったら、漢方や果物をもとにした伝統茶を飲んで体を癒します。昔ながらの韓国らしいインテリアでまとめられている店内で、チマチョゴリを着た主人と話しをするのも私の楽しみの一つなのです。みなさんもぜひこの街で、手作り伝統茶の深い味わいを堪能してみてください。


伝統と先端アートに出会う街



上:メトロな雰囲気のお店が佇んでいる仁寺洞の路地裏。古いお店と新しいお店がうまく共存している。

下:仁寺洞に新しくできたショッピングモール「サムジギル」。若者のアートの発信地でもある。

 伝統と先端アートが入り混じる街として注目されているのが、お茶の街としても知られる仁寺洞と、保存地域にも指定されている三清洞サムチョンドン。隣り合ったこの2つの街は最先端のアートを発信している街としても有名です。伝統工芸品の店や最新アートを展示するギャラリーなどもあり、ハイセンスなショッピングとレトロな時を過ごすのにはもってこいの場所になっています。
 仁寺洞の全長200mほどのメインストリートには、家具や骨董品、韓紙など、伝統工芸品の店が軒を連ねていますが、アートを発信する店とうまく共存して、訪れる人たちを楽しませてくれるのです。
 シルクや麻を使って作る、モダンな雰囲気が漂う繊細な色合いの韓国伝統布「ポシャギ」。千年以上前から作られていたという韓国伝統の韓紙。韓国らしい色合いを使った小物などはお土産にもぴったりです。白磁は14〜19世紀にかけて技法は発達しました。そんな伝統を守りつつ、モダンで伝統的な茶器のセットなどを探してみてはいかがでしょうか?伝統工芸品の中には、現代に使える実用的なものにアレンジしたものがたくさん売っています。

上品な味わいの伝統菓子

茶食タシッ
穀類の粉をはちみつでこねて、茶食板という型で独特の模様をつけて仕上げる伝統菓子。日本の落雁によく似ている。


お餅の伝統菓子
若い人向けに、おしゃれな形のお餅が大人気。韓国のお土産によろこばれる。
 仁寺洞インサドン三清洞サムチョンドンを歩いていると、目につくのが“韓屋”と呼ばれる韓国伝統の家です。韓国のお茶の作法を学ぶことができる場所などもあるので、昔ながらの韓屋に泊まり、煉瓦の屋根や古いかんぬきの屋根などから、韓国を感じることができます。
 以前私はこの韓屋で、韓国茶に欠かせない「茶食タシッ」という菓子の作り方を学びました。落雁らくがんに良く似た味わいの一口サイズの上品なお菓子です。素材はとうもろこしの粉や抹茶など、天然の色が目にも優しくお茶の時間を楽しませてくれました。
 韓国の伝統菓子は、もち米やうるち米の粉を使った素朴な餅菓子が中心になっています。甘さが控えめで上品な味わいが特徴です。カラフルな色合いで人気の「ムジゲトッ」というお餅は、うるち米を原料としたスポンジケーキのようなものです。これは、子供が1歳の誕生日を迎えたときに近所に配るお餅で、還暦のお祝いにも必ず食べる伝統があります。歯ごたえがあり、もちっとした食感が特徴です。
 「薬」と書いたお菓子があるのも韓国ならでは。韓国菓子にも医食同源・予防医学的な考えにもとづいた伝統があります。「薬菓ヤッカ」と呼ばれるお餅は、昔も今も人気のある伝統高級菓子です。この「薬菓ヤッカ」や「薬食ヤッシ」と呼ばれるお菓子は、体にいい食材を使っているという意味だそうです。

朝鮮時代から伝わる甘い茶葉


▲韓国の茶葉:漢方茶(左下)・コーン茶(左上)・菊茶(右上)・アジサイ茶(右下)韓国には葉や穀物をつかったお茶がたくさんある。医食同源の韓国らしいお茶。
 自宅でも手軽に伝統茶が飲めるように、最近ではコンビニやスーパーなどでもスティック状やジャム状になった伝統茶が買えるようになってきました。作り方はとっても簡単。グラスにジャムや粉を入れてお湯を注ぐだけです。代表的な柚子茶は最近日本のスーパーなどでも見かけるようになりましたね。
 また、韓国には葉のお茶がないわけではありません。最近は緑茶ブームということもあって手軽に茶葉が買えるようになってきました。
 葉を使った韓国の代表的なお茶といえば、「ドゥングルレ茶」。香ばしい香り・味が特徴の「アマドコロ」という植物の根が原料。神経痛・滋養強壮・高血圧・打ち身に最もよく効くといわれています。
 そして最近人気のお茶といえば、「イスル茶」。朝鮮時代から伝わる伝統茶の一つです。アジサイの葉から出る自然の甘さが特徴で、砂糖を入れていないのに砂糖の1000倍の甘味があり、冷やして飲むとさらに甘味が強くなるお茶です。ガンの誘発を抑えるサボニンが、にんじんの約5倍あるそうです。
 温かく飲む伝統茶から冷たい伝統茶までたくさん種類があるので目移りしてしまいますが、お土産にするととても喜ばれます。たくさんある韓国のお茶ですが、ぜひ自分好みのお茶を探しに行ってみてはいかがでしょうか?

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