子供の頃、「韓国料理は、食べ方ひとつで美味しさが変わってくる」と、祖母に教わりました。「ビビンバ」は、その代表的なものです。このビビンバの美味しい食べ方には、ちょっとしたコツがあります。
冷蔵庫に残ったナムル数種類をご飯に盛り付け、今にも黄身が垂れそうな半熟の目玉焼きを乗せてビビンバに。これを家族全員無言になって混ぜるのが、我が家の定番風景でした。
色とりどりのナムルがきれいに並べられたビビンバ。これを見て、冷蔵庫にある残り物で作ったとは誰も思わないでしょう?混ぜてしまうのは、何だかとっても、もったいない気がしますね。でも、ビビンバは混ぜるのがポイント。混ぜてこそ本来の味が楽しめるというものですから、混ぜ方には寸分の妥協も許されません。どんなに腕が疲れても、これでもかとばかりに、原型が分からなくなるほど、混ぜて、混ぜて、混ぜなければなりません。
韓国には、鍋奉行じゃなくてビビンバ奉行がいます。よく混ぜないで食べようとすると、祖母が飛んできてスッカラ(スプーン)を取り上げられ、「まだまだ、混ぜ方が足りないよ!」と、よく注意されたものです。韓国に行った友人からは「ビビンバを食べていたら、店のおじさんが来て、親切によく混ぜてくれた」という話しを聞きました。「親切に混ぜてくれた」というより、「見ていられなかった」に違いない・・・。
実は私も、よく混ぜないで食べようとする主人から器を取り上げて、有無を言わせずおもいっきり混ぜてしまいます。最近では、主人から先に「混ぜて」と器を差し出す始末。今や私も、立派なビビンバ奉行??










1975年生まれ。韓国人の父と日本人の母の間に生まれ、幼い頃から韓国料理・文化に慣れ親しんで育つ。韓国料理教室「さらみ」主宰他、旅好きな料理研究家としても雑誌やテレビで活躍している。著書『ビューティ・ソウル』(情報センター出版局)、『韓流グルメガイド』(彩図社)好評発売中。旅のエッセイの他、フードジャーナリストとしても執筆多数。





