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今日から始める男の趣味 VOL.14 バックナンバー

どこまでも美しい音色を求めて!『テルミン』を奏でよう

第2章 テルミンの魅力 第3章 テルミンの演奏法
第1章 テルミンを知る
テルミンは、シンセサイザーをはじめとするすべての電子楽器のルーツです。

「テルミンは、オリジナリティの高い演奏法を有している楽器です」と語る竹内さん。
—まず、テルミンとはどんな楽器なのか、教えてください。
竹内氏(以下、敬称略):テルミンは、1920年にロシアの物理学者レフ・テルミン博士(1896〜1993)によって発明された世界最古の電子楽器です。シンセサイザーをはじめとする電子楽器のルーツといえるでしょう。テルミンの最大の特徴は、楽器に直接触れずに演奏する点にあります。後ほど詳しくご説明しますが、テルミンのアンテナから出ている電波を手の動きで制御することで音を奏でます。原理的には、ラジオの受信機に近い楽器です。
—当初は、画期的な楽器として注目されたようですね。
竹内:テルミンが誕生したのは、ロシア革命(1917年)の後でした。当時、ロシアは大きな変革期にあったのですが、電子や電気の力を使って音を発するテルミンは、それまでの楽器の概念を変える革命的な存在だったと思います。レーニンは、当時の社会を“電化”することが重要だと考えていたようですが、その意味でも電子楽器のテルミンの誕生は、とてもタイムリーでした。
—テルミンはどのように普及していったのですか。
竹内:テルミンは、自国(ロシア)の進んだ科学技術を広く世界へアピールする素材として使われたようです。テルミン博士も、イギリス、フランス、ドイツなどヨーロッパの国々に遣わされ、デモンストレーションをしたり、1928〜1938年にはニューヨークに拠点を置いて活動したりしました。アメリカでは、ロシア系アメリカ人のバイオリニスト、クララ・ロックモアがテルミンの演奏を始め、楽器としての可能性が広まりました。
—ハリウッド映画にも使われたようですね。
竹内:ヒッチコックをはじめとする映画監督が効果音として使いました。ただし、彼らはテルミンの音を恐怖や不安などの心理描写のために使ったのです。その印象があまりにも強烈だったので、今でもテルミンは怖い音を出す装置という認識が根強く残っています。その後、1960年代にはザ・ビーチボーイズやレッド・ツェッペリンなどのロックバンドがライブで効果音として使いましたが、楽器としてはあまり認識されていないようでした。

垂直方向と水平方向、2本のアンテナが特徴的な電子楽器テルミン。
—楽器として注目されるようになったのは、いつ頃からですか。
竹内:1990年以降だと思います。当時はシンセサイザーの発展が限界に達し、電子楽器に何ができるかを模索していた時期でした。そんな中、新たな音色を創り出すのはテクノロジーだけではなく、演奏する人間にもあることをテルミンが示し、斬新な音楽を創造するための手法のひとつとして注目されるようになったのです。やっと音楽を表現するためのインターフェイス、楽器として評価されるようになったわけです。
—日本でも、人気映画「のだめカンタービレ最終楽章」後編(2010年4月17日公開)で、テルミンが登場するようですね。
竹内:いままでテルミンは「怪しい」音色を奏でる楽器という印象が強かったのですが、映画では原作のコミックにはなかった本格的な演奏シーンが追加されるなど、テルミンにとって大きな進歩だと思います。ラン・ランという中国の著名なピアニストの伴奏に乗って、しっかりとテルミンを演奏するシーンもあります。ちなみに、映画ではテルミンの演奏吹き替えを私が担当させていただきました。「のだめ」によって、テルミンに対する認識が変わってくれると嬉しいですね。

テルミンの生演奏がお楽しみいただけます。

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